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【AWAKen】非エンジニアがAWSを使って業務改善!?旭化成内AWS活用事例と、高まるIT活用意識<AWAKen第3回イベントレポート>

3月17日(金)、CoCo-CAFE田町にて
AWS(Amazon Web  Services)社内実践コミュニティ【AWAKen】
第3回目のイベントが開催されました。
メンバーの成長とAWSの社内活用事例の発表、
さらに、それぞれが活動を通して抱いた想いまで。
IT活用意識の高まりを感じられる濃厚な3時間となりました。

※AWAKen、AWSについてはこちら↓


非エンジニア前田さん,Amazon QuickShightで業務課題を改善!

初代AWAKerとして、挑戦を続ける前田さん

前回、AWSの資格「AWS Certified Practitioner」に見事合格した非エンジニア前田さん。今回はいよいよ自らの業務課題を解決すべくAWSを使ってダッシュボードを作成。
初心者ならではのリアルなつまづきポイントと、その解決方法、そして
AWAKenコミュニティへの今後の期待を皆さんと共有しました。

業務課題の洗い出しと、改善策

旭化成デジタル共創本部に所属する前田さんは、旭化成全従業員向けDX教育プログラム「旭化成 DX Open Badge」を担当されており、受講データ管理を業務課題として抽出。
3万件を超えるOpenBadgeの受講データを当初はExcelで管理していたため、事業部から問い合わせがある度、該当部門のデータ抽出・パスワード付メールで送信・・・という作業を行っていました。やって出来ないことはありませんがデータを提供する側も、される側も限られたリソースの中では負荷の大きい業務となっていました。そこで、前田さんはダッシュボードをつくることで権限付与だけすれば事業部の方が、好きな時に必要な情報を自分で見に行ける環境を構築することにしました。
>改善前
・3万人を超える受講情報をExcelで管理。
・問い合わせのたびに、該当部門の情報だけを抽出→パスワードを付きメールで送信

<改善前イメージ>前田さん:問い合わせがくる度に情報を抽出してメールを送付する
                          各事業部:前田さんに都度、問い合わせしてメールが来るのを待つ

>改善後
・権限を与えられた人は好きな時に自分の知りたい情報をダッシュボードに見に行ける。
・分析に必要な情報をDLすることも可能
・閲覧制限で受講情報もしっかり管理

<改善後イメージ>前田さん:1度問い合わせを受けたら権限を付与
                各事業部:権限さえあればいつでもダッシュボードで情報閲覧可能

ダッシュボード作成にあたり、まずはAWAKenメンバーに相談し
必要なAWSサービスの選定とアーキテクチャを作成。

実際のアーキテクチャ

「AmazonS3」にデータを集約、
「AWSGlue」でデータの所在地が分かるデータカタログを作成し
「AmazonAthena」でほしい情報を欲しい形で抽出
「AmazonQuickSigit」でデータを見える化
こうして完成したダッシュボードで無事、業務課題は解決できたのですが完成までには様々な苦労もあったようです・・・。

ダッシュボード作成中のつまづきポイントと、AWAKenコミュニティのこれから

AWSの資格「AWS Certified Practitioner」を取得した前田さんですが、実際にダッシュボード構築を試みると以下のような点でつまづきがあったそうです。
①    サービスのイメージを掴むまでに時間がかかる
②    サービス画面が英語(頑張って読む…!)
③    知らないIT用語が出てくる…

そんな時は、
・Google検索
・YouTube動画検索(英語であったり古い情報の物もあるので注意)
・よく知ってる人に聞く!!

という方法で解消し一つ一つ作業を進めたそうですが、初めてのダッシュボード作成という試行錯誤の中でも積極的に新しい技術を活用し、楽しみながらコツコツ進めていった様子がうかがえました。
また、突然の謎のエラー画面の出現時にはGoggle検索してもわからない時は、やはり「よく知っている人に聞いてみる」ことが有効だった!、とAWAKenメンバーの中でもAWSに詳しい高橋さんとのやり取りを振り返りました。
今後は、構築したダッシュボードの更なる機能改善とてTeamsのAWAKenコミュニティの「なんでも相談室」チャンネルが、今回苦労したようなエラー画面についての対処方法などをラフに皆で教え合える場になっていければ~と今後のコミュニティへの期待も膨らみます。
資格取得で終わらず「実際にダッシュボードを構築してみる」という経験を経て、AWSの知識だけでなく、コミュニティの在り方など様々な点で、”デジタル活用人材”としての視野を広げその解像度を上げていく、そんな前田さんの姿が印象的でした。

AWS主催、グローバルイベント「re:Invent」

AWSの津郷さんによるre:Inventの事例報告

前田さんのダッシュボード作成奮闘報告の後は、AWSの津郷さんから
2022年11月末に米国ラスベガスで開催された世界規模”学習型”カンファレンス「re:Invent」で発表された世界最先端のAWS活用事例などをご紹介いただきました。※AWS re:Invent Recap アーカイブ (amazon.com)
パンデミックという「不確実性」への対応が求めらる中にあっても、多くの世界的企業がAWSを活用することでフレキシブルに状況に対応し成長を遂げることが出来た事例。そして再生可能エネルギーへのシフトという世の中をリードする事例等をご紹介いただきました。
「世界的企業の先進的な事例をいくつかご紹介してきたが、前田さんの活動も含め旭化成様の取り組みと規模は違えど目的やゴール感が近いものが多数あったかと思う。継続してAWSを活用することで自身の課題を誰もが自分の力で解決できるようになっていく」と、AWS活用のモチベーションとなる力強いメッセージをいただきました。

新卒社員が構築!“日本酒醸造工程モニタリングシステム”


myLabのAWS事例と「嗅覚プロジェクト」の発表をする伊藤さん

つづいて、新卒入社してすぐMI※研修を受け3か月後には、匂いをデータ化する嗅覚プロジェクト「日本酒醸造工程モニタリングシステム」の開発に携わったという旭化成M&Iセンター新規事業共創室デザインプロトタイピンググループ、通称myLabの伊藤さんから、自身の所属するmyLabのAWS活用事例と、自身の携わった「嗅覚プロジェクト」についてのお話を頂きました。
(※MI=マテリアル・インフォマティクス。過去の実験結果や検証データを活用して材料を絞り込みシュミレーションすることで、材料開発の効率を格段に上げることが出来るデジタル技術。)
MI研修では本を読んだり、アーキテクチャとにらめっこをしたり、周辺知識を勉強したりとかなり苦戦もしたそうですが、その甲斐あって、嗅覚プロジェクトではバックエンドのアーキテクチャを自分で描けるまでに成長。
スモールスタートで試作品を作りたい“嗅覚プロジェクト”では、AWSの拡張性と従量課金制が最適であると判断。AWSの中の様々なサービスを比較検討して最適なサービスをピックアップ、システム構築に取り組みました。
フロントエンド側を担当した同じくmyLabの竹内さんと共に試行錯誤の末、試作品が完成。
正式にシステム会社に依頼すれば構築するのに3500万円、半年以上かかるであろうシステムの試作品を2人で、たった4か月で作ることができたそうです。あくまで試作品ではあるものの、価値検証という点では充分に機能したのでは、と確かな手応えが伝わってきました。
伊藤さんの所属するmyLabからは今後も興味深いシステムを続々リリース予定。AWS事例だけでなくmyLabの活動についても注目が集まりました。

開発体験から見えてきた、旭化成のIT人材のあるべき姿について

自身の経験から、IT人材の在り方について熱く問いかける高須さん

続いて、共創戦略推進部の高須さんから「旭化成のIT人材のあるべき姿」というテーマで、自らの経験をもとにしたディスカッションベースでの提案がありました。
ITシステムのニーズが今後さらに高まっていく中、どれだけ価値のあるシステムをコストやスケジュールを抑えて開発できるか?は重要になってくるはずです。そんな中、社内で新システムを生み出すにあたり「開発者(エンジニア)側」と「ユーザ(ビジネス)側」の、知識レベルの差が開発の大きな障害となり得るため、もっとお互いの専門領域に歩み寄り、理解を深めていくことが必要なのではないか?そのためにはどんなアイディアがあるだろうか?
という高須さんの問いかけに会場からは
「“知識の共有”が両者の歩み寄りの一歩になる、そのために旭化成の情報共有アプリケーション“CLIC”のようなシステムをもっと活用していきたい」
「プロジェクトに対して100%の責任感を持つ人間を育てるべき!」
等の意見が上がりました。
高須さんも自らの経験から
「新卒社員は全員1年以上システム開発を経験してみる」
「事業部とIT開発チームを固定にして二人三脚で常に動いてみる」
というアイディアを上げ、IT活用を考えるならばIT人材の「在り方」についても今後、皆で意見を出し合い最適な状態を模索することが大切になってくるのでは、と呼びかけました。
お互いの知識を持ち寄るだけでなく、相手の専門分野へも一歩踏み出しパートナーとして同じ方向を向いて共に開発をしていきたい!という想いが垣間見える熱いディスカッションの場となりました。

高須さんの発表に聞き入る会場

WEBサイトをAWS(docker)×WordPressでサクッと構築!~Infrastructure as Code~

山崎さんからWordPressでサイト構築するに至った経緯を共有

自部署、CXT(旭化成CXテクノロジー推進センター)のWEBサイト※WordPressで構築をした山崎さんと三好さん。サイト構築に必要な環境をAWSサービスの一つDockerを使って
”誰でも同じように実現できる”「infrastructure as Code(IaC)」という考え方の下、実際に仕組みをつくり、会場の皆さんに紹介・共有しました。
5つのコマンドを打つだけで、プログラミング知識がないと難しかったWordPresのインストールという作業が完了するこの仕組みを例に、AWSなど技術を組み合わせることで業務スピードが格段に上がること、技術を学ぶことの重要性を説きました。限られたリソースの中でも無限のパフォーマンスを引き出せる身近な事例に会場も興味津々でした。

三好さんによるAWSのDockerについての解説

※WordPress:WEB関連技術がない人でもサイト管理や記事投稿が出来るコンテンツ管理システム。全世界の4分の1以上のサイトがWordPressで作られていると言われており、システム自体は無料で使う事が出来る。ただし、自サーバーにWordPressをゼロからインストールする際に一定の技(Linux,Webサーバー、データベース(MySQL),PHPなどの適切な設定)が要求される。

AWAKen立ち上げメンバー、AWS鳥羽さん棚橋さん卒業

最後にAWAKenの立ち上げからサポートをしてくださったAWSの鳥羽さん棚橋さんが異動になるという事で、お二人よりご挨拶がありました。
お二人のAWAKenに対する思いや、今後の広がりへの期待とともに、新たなAWSメンバーへとバトンが渡されました。

発足当初のAWAKenを振り返るAWSの棚橋さん
AWAKenへの想いを熱く語るAWSの鳥羽さん

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要望の多かった“事例発表”をメインとして開催された今回のAWAKen第3回イベント。システムの話だけにとどまらず、それを取り巻く環境や人に対する想いにまで話が及び改めてAWAKenというコミュニティの温度を感じることができました。
今後もAWAKenが、まさにAWSのように柔軟に、人やその目的に対応しながら、絶えず拡張し、進化を続ける様子から目が離せません。

第4回AWKenイベントもお楽しみに!

関連リンク
アマゾン ウェブ サービス(AWSクラウド)
旭化成株式会社
旭化成株式会社デジタルトランスフォーメーションサイト
旭化成 DXエンジニア キャリア採用 特設サイト

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