「IMPROVE 製造業DX -DXによる企業改革―」に旭化成 上席執行役員 デジタル共創本部長 原田典明が登壇
2024年5月17日に開催された『IMPROVE 製造業DX -DXによる企業改革ー』に、旭化成 上席執行役員 デジタル共創本部長 原田典明が登壇しました。
「DXの第一歩は組織風土改革である」という言葉を裏付ける、旭化成の様々な取り組み、失敗や成功事例、そしてDX人材育成について「旭化成が取り組むDX戦略と組織風土改革~デジタル人材育成による製造現場の改革~」というタイトルで、講演を行いました。
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旭化成ではG=Green transformation、D=Digitl transformation、P=People transformationの3つ(GDP)を重要なテーマとして掲げています。中でもD=Digitl transformtion=DXについては全員参加×現場主導×共創をキーワードに全社で取り組んでいます。
旭化成が「現場」にこだわるのは、過去の失敗からの学びによるものです。
どんなに優れたシステムでも、実際にそれを使うのは現場であり、現場が必要性や利便性を感じられないものが浸透することはありません。
そのため、現場が積極的に自らDXを進めていくことが一番重要な事であると考えています。
今でこそ、DXについての本を出すまでになった旭化成ですが、最初からDX推進がスムーズに進んだわけではありません。
これまでも様々な取り組みをしてきましたが、現場におけるデジタル活用の意識が大きく変わり始めたのは、やはりコロナ禍でした。
コロナで海外のお客様のプラントメンテナンスが出来なくなってしまった際に、以前に開発したスマートグラスを使って遠隔で指示をしてメンテナンスを実施するなど、今までに導入・開発してきたデジタルツールを活用するシーンが現れはじめたのです。
旭化成では人材育成にも力を入れています。
2019年より現場のエンジニアやオペレーターをデータ分析エンジニアに変えていく取り組みを進めており、実際の現場課題を解決しながら日々学びを深めています。
例えば、糸工場の“製品の不良”には、湿度が関係しているのでは?と、現場オペレーターの経験と勘による仮説がありました。実際のデータにより、その仮説を実証し、加湿器を導入することで年間、数千万円の利益を創出することが出来ました。勘だけでは投資はできませんから、データはとても役に立ちました。
ただし、この件はここで終わらず、もう一年、分析を進めたところ、原因は糸を湿らせる油剤の水分量であると分かり、今では加湿器を止めて油剤の水分量をコントロールするに至っています。
このような沢山の事例が、今やっと、出てき始めています。
製造現場だけでなく研究開発現場におけるMIでも、教育を行い、現場の誰もがMIを使えるように環境を整え、情報交換が出来るハブを作り、研究開発の効率化を加速しています。
問い合わせのグローバル対応にはAIの翻訳機能や、膨大な過去データから事例を参照できるようにするなどして年間1800時間ほどの時間の創出に成功しています。
ロイカ工場がスマートファクトリー賞を受賞したり、DX銘柄に三年連続で選出されたりと皆様からも様々な評価も頂いていますが、実際の利益に繋がる迄には最低でも3~5年もの時間が必要でした。
DX化の第一歩「紙を全てデータ化する」こと、ここにはとてもお金と労力がかかりますが、旭化成は実は、人材の育成やダッシュボードの作成などにより、現場に「まず成果を感じてもらう」所から始まったように思います。
成果を実感できると、現場から「もっとデータを取り込みたい!使いたい!」という声が上がるようになり、どんどんDXが加速するのです。
そういった実感があるからこそ、データを活用する「組織風土改革」こそがDX推進の第一歩であると私たちは考えています。
昨年はデジタルタレント戦略室を設立し、IT人材の教育や採用を加速しています。旭化成がリーダーとなり「未来のデジタル人材会」もスタートしました。DXに力を入れる9社と情報交換を行い他社との共創を行い、旭化成はこれからも更なるDXを皆様と共に推進していきたいと考えています。
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