DX銘柄2024 選定企業2社対談 旭化成株式会社×富士フイルムホールディングス② ~それぞれのDX施策と変化~
●安藤さん(左)
富士フイルムホールディングス株式会社 ICT戦略部
各事業部のDX推進を担当。DXのベンチマークや、社内の生成AIの活用推進を行う。
●深田さん(中央左)
富士フイルムホールディングス株式会社 ICT戦略部
製品事業のDX推進を担当。DXのベンチマークや、社内発信を行う。
●佐仲さん(中央右)
旭化成株式会社 デジタル共創本部 DX企画管理部
社内外のプロモーション活動を行う。
●北原さん(右)
旭化成株式会社 デジタル共創本部 DX企画管理部
主に社内に対するプロモーションを行う。
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※以下、安藤さん=安 深田さん=深 佐仲さん=佐 北原さん=北
2社それぞれのDX
安:富士フイルムホールディングスは「CSR計画「Sustainable Value Plan(サステナブル・バリュー・プラン)2030(SVP2030)」いう中長期的なビジョンを設定しています。具体的にはサービスや製品などを持続的にお客様に提供しながら社会課題を解決していく~というビジョンです。
DXは、そのビジョンを達成するための一つの手段として位置付けています。従業員一人一人の業務をデジタルを使って効率化し、生産性を向上することで、製品やサービスの付加価値を高めることが出来る。そうすることが、社会課題を解決していくことに繋がる、という考え方ですね。今は、DXビジョン実現のために「DX基盤」(DXの土台となるインフラ)として「製品・サービス」「社内業務」「人材」という3つのDXの柱を中心に強化しています。
北:旭化成は「Asahi Kasei DXビジョン2030」というビジョンを策定しています。組織・企業・国といった様々な境界を越えて共創し新たな価値を創造していくことをめざしています。推進にあたっては、「デジタル変革ロードマップ」を策定しています。2024年度からは「デジタルノーマル期」としてグループ従業員全員が、デジタルを使いこなすというフェーズです。人材育成では、DX Open Badge、あとはコミュニティ活動も盛り上がっています。旭化成全体として「全員参加」「現場主導」というキーワードを大切にして進めています。
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安:今、「現場主導」とおっしゃられたので、ちょっと教えてほしいのですが・・・。上からの課題が現場の課題と一致していないというか、そういうことってないですか?事業的にはやはり、DXって上から進めがちですよね・・・。
佐:多分同じ悩みはありますね(笑)。旭化成は「テーマ」というよりは、みんなそれぞれが「自分ごと」としてDXしていこう!ということで現場の人が自分から動いていく、進んでいくイメージですね。
会社としてやってほしいDXと現場が注力したいDXとは同じではないこともありますもんね。テーマの粒度の違いもありますしね・・・その辺はまだまだ難しいところではあります。
深:KPIの設定の仕方だと思うんですが、TOPのKPIと現場のKPIでは求められるものが違ったり繋がらなかったりしますからね。目線が違いますもんね。
佐:そこはどこも苦労しているところかもしれません・・・。
ところで、富士フイルムさんとしては、特にこんなDXに力を入れているよ!というのはありますか?
安:いろいろな事業がありますが、やはり製品やサービスというお客様に近いところ、メディカルシステムやビジネスイノベーション、イメージング(デジタルカメラ)と言った分野に関して弊社は親和性が高いと感じています。
社内業務効率化で行くと経営ダッシュボードなどを作ってデータから次の戦略を考えるということもしていますね。
調達領域では、ブロックチェーン技術を使った“デジタルトラストプラットフォーム”という技術があります。信頼性を担保した状態で、在庫情報などを細かくお客様と共有して在庫を減らす~ということも進めています。メディカルの分野でも同じ技術を使って、病院患者さんの健康診断の機微なデータを様々なステークホルダーと提供して新たな価値を生み出していく~ということも検討中です。お客様のDXを進めるという所では、罹災証明を作るにあたって現地に行かずにドローンを飛ばして写真を撮って~ということもやっていたりしますね。
佐:ブロックチェーン!!実は旭化成もBLUE Plasticsという資源循環プロジェクトで使っています(笑)。弊社のDXはMI(マテリアルズインフォマティクス)だったり、スマートファクトリーだとデジタルツインとか工場管理。あとはIPL(IPランドスケープ)なんていうこともやっていたり、色々なところで成果が見えてきていたりします。やっていることは沢山あるけど、まだ公に言えないDXも実はあったりしますね・・・
深:そうですよね(笑)。DXを推進するにあたって、いろいろな事業がある中で個別のDX同士をどうつなげるかがポイントなのかなと思ってるんですが、結構難しいんですよね…。
佐:情報が繋がっていかないといけませんよね。社内の垣根を下げることも大事ですね。その辺も我々の仕事かなと思っていたりします。
DX銘柄をとって良かった事、変わった事
安:直接ではないんですけど、IT系の人材に来ていただきやすくなったかな?と思っています。入社のキッカケの一つとして“DX銘柄”という言葉が聞こえることもある…?かな?という感じです(笑)。まだまだ富士フイルム=DXでピンとこない方も多いと思いますが、それでもDX銘柄になったことでそういった優秀な人材が集まりやすくなったのはあるとは思います。
佐:分かります。我々もDX人材に来ていただきたい!という思いをもってプロモーション活動もしているので、嬉しいですよね。
北:あとは、社内風土の醸成にも役立っています。従業員みんなの取り組みの成果にもなりますし、工場のローカルニュースにも掲載したりしているのでDXと少し遠いところにいる方々にも「うちの会社DX頑張っているんだな」と知って貰えて、旭化成の掲げる“全員参加”の一助にもなっているのではと思っています。
佐:そうやって少しずつ自分ごとになりますよね。
DX銘柄2024 選定企業2社対談
旭化成×富士フイルムホールディングス ③
~手段の面では共創を~ に続く